桜の一匹狼



「……あのっっ」



戻ってみれば、やっぱり桜の下に彼はさっきと変わらないままの姿でいる。

ドキドキする心臓を必死で押さえながら、彼に声をかける。

ちらりとこちらに目線だけ向けてくる彼は、無表情で、まるであっちへ行けと私を拒絶しているように見えた。

近くに行くと、彼がとても背が高いことがわかる。
たぶん180センチ以上ある。
細身だけれど、引き締まった体は、とてもたくましそうに見える。


ケンカとか、強そう……。


そう考えると更に怖くなる。


でも、でも…!!