『えー。3月いっぱいで高科 蒼くんは、
転校することになりました。』
先生からその紹介を受けて
早2週間で、都会にあった高科家は
祖母が暮らす街から町へ引っ越した。
この2週間の間に
たくさんの友達から手紙をもらったり
お別れの言葉を聞いた。
手紙の中にはラブレターもあった。
僕はひとつひとつに返事をした。
今の僕に恋愛なんて考えられなかった。
そう。
あの頃の僕には…。
引っ越してから、僕は名字が変わった。
高科から母さんの旧姓の
河原に変わった。
晴は、環境が変わってからも
学校に行こうとはしなかった。
僕は、ここに来て
何かが変わればいい、
新しい自分が見つかればいい
と思っていたんだ。
1人で学校へ行く時、ひとつ疑問があった。
晴。どうして、そんな悲しい目で
前の家の方向一点を見つめているんだよ。