「父さん。さっきまで一緒に雪で遊んでたじゃん。つづきしようよ…。父さん。」


僕も弟も泣きながら父に話しかけた。



次の日。

父のお通夜が行われた。

たくさんの人が喪服でやってくる。

たくさんの花の後ろには

笑顔の父の遺影がある。


昨日まで、あんなに元気で

あんなにはしゃいで、

あんなにたくさん遊んでいたのに。

どうして。どうしてなんだよ。父さん。



父さんは事故死らしい。



スープ作りに必要な野菜、コンソメ。

たくさんの具材をふくろにたくさん詰めて

帰ってる途中だったらしい。

そこにスリップしたトラックが

父のところへ…。



どうして僕はあのとき、

父にひとりで買いに行かせたんだろう。

僕が一緒にいれば

父が死ぬことはなかったかもしれないのに。



そう罪悪感を抱いていると

部屋にいた弟が言った。


「僕のせいだ。僕がスープなんか飲みたいって言ったからだ。そうじゃなきゃ父さんは、あそこを通ることもなかったし、死ななくて済んだんだ!!!」


母さんは弟を抱きしめた。


「もうなにも言わなくていいのよ。あなたが、罪悪感を抱くことなんてなにもないの。あなたは悪くないの。」


母は涙を流しながら、弟を抱きしめていた。


僕はあの日の出来事をこれまで

1日も忘れたことがなかった。