…カタ。


静まりかえっている図書室に

椅子の音が鳴り響いた。



そのとき、彼はこちらに気づき

驚いた表情を見せた。


「さっきの…。さっきはごめんなさい。驚かせたみたいですね。」


「いえ!あそこで人に出会うのは初めてで…。」


『咲愛ー。河原くんいないよー。』


外から汐音の声がする。

すっかり忘れていた。

そういえば、河原 蒼くんを探すんだった。


「あ。忘れてた!あの!河原 蒼くんって知ってますか?」


つい聞いてしまった。


「いや。僕、河原蒼だけど…?」


「え、ええええええ!あなたが河原くんでふか!?」


驚きすぎて噛んでしまった…。


「はははっ。はい。僕、1年の河原 蒼です。」


「全然気づかなかった。というか1年生だったんだね。」


「はい。僕はあなたが2年生だということはすぐにわかりましたけどね。」


そう。うちの学校は、女の子はリボンの色で学年がわかるようになっている。

3年生は緑。
2年生は赤。
1年生は青。

と決まっている。

だけど、男の子にはないので学年がわからないのだ。