たわいもない会話をしながら


学校へたどり着こうとしていた。


すると、咲愛が。


「ねぇ。初?彼女とかいないの?」


俺は今まで咲愛と恋愛話なんて

したことがなかったから

正直びっくりした。


「なに?急にどうしたの?」


すると、咲愛は下を向いて言った。


「あたしと2人でなんか登校したら彼女が悲しんじゃうんじゃない?」


俺は今までずっと、
咲愛だけを見てきた。


なのに。なのに。


あいつ。どこまで鈍感なんだよ。

俺は、咲愛が咲愛さえいれば

それでいい。


なのに、ほかに彼女がいるんじゃないかと

聞かれただけで

無性に腹が立ってしまった。


咲愛は何もしていないのに。


俺に勇気がなくて、

ずっと言えずにいるだけなのに。


「俺には、彼女なんていないよ。俺と2人で登校するの嫌だった?」


咲愛にきつく当たってしまった。

あとから、すごく後悔した。


ごめん。ごめん咲愛。
俺、必ず咲愛に伝えるから。



俺にあと少しの勇気がでたら


必ず……必ず…。