三日月姫



「これは…」



『分かりましたか。私が美月様を連れてきた訳が。』


全く理解ができない。

主語が抜けているような気がする。



「あ、あのっ、なんですか?私の力って…」


お母さんの力は癒やしだと聞いた。

じゃあ私は?



『私が説明しましょう。』



『美月様の魔力は種類で言うと「整理魔法」と言われ、攻撃にも防御にも使える万能な魔法になっています。』


おおお…!なんかかっこいい!


『実際に使ってみないと、どんな整理魔法かは分からないのですが…』


「そうなんだ…」


私なんかに使えるのかな?魔法なんて…



「…三日月姫」


「はっ、はい!」


魔術師に呼ばれ私はリベルの方から魔術師に体を向けた。


「死ぬ覚悟はあるか。」


…!


「もちろんです。」

名前を言ったときは違ってはっきりした声で言った。


覚悟が決まってるからここに私はいる。



「それがどれだけ残酷な死だとしても?」


残酷な…死?


「魔獣に殺されたものはその存在を失くす。死体も残らない。その人に関する記憶は全てなくなってしまう。それでも、覚悟は決まっているか。」


唖然とした。


そんな、残酷な…死…なの?

だけど、大丈夫だよね。



「レイアがいるから。一緒に戦ってくれるんでしょう?」



「っ…!」



レイアは信用できる。

今会ったばかりなのに…なぜかそう思う。

まるで、私とレイアは繋がっているように…


そんなふうに感じる。


『美月様…』



「なぜそんなことが言える。今、会ったばかりの相手に。」


だ、だよね…私、結構変な人だ…





「わかりません。でも、レイアなら…レイアとなら大丈夫な気がするの。」