三日月姫




『もう、よろしいですよ。』



長いような、短いような時間目を閉じていた気がする……



ゆっくりと目を開ける。




「なに…ここ…!!」


見間違いかと、何度も瞬きをしたり目をこすってみたりする。


見間違いじゃ…ない…!


ここが…ここがアンリデット…!



私が見た世界、それは…




青い月…

中心に建つ大きな…白くて綺麗なお城…

民の家だろうか…周りにある民家はお城と同じ綺麗な白で統一されていて…


白い服を着た住民が…楽しそうに生活している…そこは地球とは変わらない…


でも…綺麗な、世界…



『美月様、ここがアンリデットのファルシェという国です。ここが…代々の三日月姫が生まれた場所です。美月様の両親もここで生まれたのですよ。』


お母さんとお父さんが…こんな綺麗な場所で…


『これからお城に行きます。絶対にはぐれないでください、絶対に。』


「は、はいっ!」


私はこの世界の綺麗さに見惚れていた。


なんて綺麗な世界なんだろう…

言うものあれだけど…地球とは比べ物にならない…


大きなビルなんて一切ないし…背の高い木々がその代わりをしているような…


綺麗…幻想的…そんな言葉がしっくりくる。