「小鳥遊さーん、おはよ〜?」


きた、と思った。


「あれえ、きょうは一人?」

「あ、ついに深町くんにも見捨てられちゃったのかなあ〜?」


私が一人で教室に入るのを見るなり、にやにやと気持ち悪い笑みを浮かべて、女子が数人、私の机を囲んだ。

ほんの数人。たったの、数人。


だけど、それだけで、ものすごい威圧感だ。


どこのクラスの子たちだろう。 クラスメイトではないはず。

私だって、さすがにクラスメイトの顔と名前くらいは嫌でももうだいたい覚えている。


私は、膝の上でぎゅっと拳をにぎって、小さくうつむいた。

来るんじゃなかった。
やっぱり休めばよかった。

伊都のいない学校なんて、そんなのもう、ただの地獄じゃないか。


……でも、二人そろって休んで、おばさんに心配はかけたくなかった。

かと言って、昨日の夜に40度近くの熱を出した伊都を学校に連れて行くなんて……そんなこと、できるわけがない。


伊都は、「俺も行く」「大丈夫だから」って言ってたけれど、そんなのだめに決まってる。