「知りたい? 俺の死ねない理由」

「うん、知りたい」


「古都のヒーローでいるため。

ーー古都に、生きてもらうため」



あの日から私は、『死にたい』と何度思ったことだろう。


あの日覚えた、人への不信感、恐怖、そしてなによりも罪悪感。

それらはいまだに消えることはないし、たぶん一生私につきまとうんだと思う。


それでも、あの日以来、死のうとすることはおろか、『死にたい』と口にしたことは一度だってない。



だって、思い出すのだ。


きみが『死にたい』と言うたびに、『ああ、私はまだこの人を殺してはいけない』と。