見ると、さっきまで私を抱えてくれていたはずの伊都のお母さんがぐったりと倒れていて。


『お母さん、お母さん……‼』

『やだ、伊都のお母さん、やだ……!』


救急隊員の人がやってきて、私たちは伊都のお母さんから引き離された。

だけど……遠くから、救急隊員の人が残念そうに小さく首を横に振るのが、私たちにはしっかりと見えてしまっていたのだ。


……結局、母と伊都のお父さんは、いくら待っていたってあれを最後に二度と姿を見ることはなかったし、伊都のお母さんも私たちが次に会ったときには目を開け、笑いかけてくれることはなかった。


詳しいことは幼い私たちには教えてもらえなかったけれど……いくら幼くたって痛いほどに理解できた。

伊都のお母さんとお父さんが亡くなったのは、他の誰のせいでもない。


私のせいだ。

私を助けたせいだ。


伊都は私のせいで、大切な大切な家族を失ったのだ。