いつから私は、こんな風にいじめられるようになったのか。

いつから伊都は、「死にたい」と口にするようになったのか。


そして、いつから私たちは、こんな風に、周りからすれば異常とさえ思われてしまうほどの二人だけの世界を築いてきたのか。


それは、私と伊都が同じ屋根の下で暮らすことになった五年前。

まだ小学五年生で、小さな世界に囚われていなかった純粋無垢な少年少女の頃。



『伊都くん、伊都くん』

『どうしたの、古都ちゃん?』


この頃の私はまだ、伊都のほかにも友だちはたくさんいたし、伊都なんかは友だちに囲まれていないときはないくらいの人気者だった。

周りと変わらない、普通の小学五年生だった私たち。



もちろん、この頃から“お隣に住む幼なじみ”が、大切な存在だったことには変わりない。

けれど、今とは全然、“大切”の重さが違ったように思える。