帰り道




ハルが少しでもあたしに惹かれて少しでもあたしを見ようとしてくれただけで充分だよ。


「ハル‥きっとその辛さから逃げても忘れようとしても余計に忘れられないよ。辛いだろうけどもう少しだけその想いと向き合ったらいいんじゃないかな?

大丈夫、あたしならずっとハルの味方だしさ。ハルが辛いときはあたし歌うから。ゆっくりでいいから一緒に頑張ろう?」



自分の言った言葉に嘘はない。だけど好きな人の幸せを一番に願えるほどあたしは大人じゃなくてどうしても声が震えそうになる。



そんなに辛いならあたしにしてよって思うあたしと


ハルの恋の背中を押すあたしがいる


無意識にいい子ぶる自分に嫌気がさすけど ハルの負担になりたくないのも本音。



少しの沈黙の後また少しギュッとあたしを抱き締めるハル。


「ありがとな」


一言だけ呟いてハルはまた少し泣いていた。ハルがあたしを抱き締めたままなのはきっと折れそうな心を繋ぎ止めるような安心感が欲しかったのかもしれないなと思った。



そっとハルの背中に腕を回して抱き締め返すとハルは『だせぇな俺』と少し涙混じりに笑った。



あたしはハルの温もりを感じながら一生懸命この温もりや腕の強さを忘れないようにこの時間をあたしひとりだけの幸せを胸に刻みこんだ。