「いいじゃん」
歌い終えたあたしの顔を見てさっきみたいな笑顔を見せる拓哉。
「あ‥ありがとう」
この曲は最近出来たもので
歌詞が歌詞だからまだハルにすら聴かせたことのない曲だった。
「相葉って思わせ振りな奴なんだ?」
「え‥あぁ、そ‥かも」
拓哉は少し切ない顔をして俯く。
「俺と正反対?」
「‥うん」
「女ってやっぱ好きとか言われたいもん?」
「そりゃあねぇ」
「そんなん言えるわけねぇし‥あぁくそ、めんどくせぇ」
その言葉とは裏腹に少し泣きそうな表情を見せる拓哉の頭を撫でる。
ハルがあたしにしてくれたように。
「‥凛」
拓哉は小さな子供が母親に泣きつくように強くあたしを抱き締めて頬を濡らした。
「凛も辛いのにごめんな」
拓哉の手を離すことなんか出来なかった。
ハルがあたしの頭を撫でるとき ドキドキするけどすごく安心感を抱くから拓哉にもそんな気持ちをあげられたらなと思った。

