声が枯れた。泥だらけになった。でも、みんな笑顔だ。悔しくて泣いた。嬉しくて笑った。

体育祭は日常と非日常の間で華奈たちを結びつけて一体にしていく。

「みんなおつかれ。それから、華奈、仁哉、クラス委員として残ったりいろいろお疲れ、あとありがとな。」

結果発表のあとクラス全員と諏訪ちゃんで教室に残ってささやかなお疲れ会をした。

「さてそれから、優勝、おめでとう!よく頑張ったな!乾杯!」
ギリギリ優勝をつかんだ華奈たちに2Lのペットボトル2本と紙コップを諏訪ちゃんが華奈たちに渡した。差し入れというやつだ。

「かんぱーい!」

本当は禁止のお菓子をみんな勝手に持ってきて、みんな勝手につまんでいる。本来なら注意すべき諏訪ちゃんも一緒になってつまんでいるから今日は無礼講だ。

「今日のMVPはハナと錦だな。」

諏訪ちゃんがそう言ってふたりに笑いかけた。ハナは運動が苦手だというのに緊張する場面で確実にシュートを入れた。錦は何度もピンチを救ったという。
ふたりはエヘヘと照れたように笑った。