「って遅くなるなこれ、じゃ、裏門とこで」

「あ、うん。」

二人反対向きに歩き出す。

心なしか、仁哉の話をする諏訪ちゃんは楽しそうで、問題児だって言いながらも、きっとかわいい生徒なんだなって、なんとなく思う。

でもなんか悔しいな。


裏門に到着してしばらくは携帯をいじる。

「ゲームもやり飽きたな…。」

去年同じクラスだった子とのメールだって、みんなそれぞれになってしまって、本当にたまにしか連絡を取らない。

「待たせたなー。」

「ううん、大丈夫。」

後部座席に乗せてもらって、少し黙っておく。助手席なんて、乗らせてもらえるわけないよね。

「あ、華奈これやる。」

「へ?ありがと」

冷たい缶に驚きつつもよく見る。

「ミルクティーだ。大好き。」

「それならよかった。」

もらっていいのかとか思いつつも、せっかくの厚意だから受けておく。

「諏訪ちゃんモテるでしょ。」