「ハナちゃん、北浦だよね、途中まで一緒だ。」
「あ、そっか、錦くん南だもんね。」
学校のある白浪台駅から南までは5分ほど。北浦までは30分もかかってしまうのに。
「今日は中央まで行くけどねー。」
「塾?」
「そ。塾行かないと授業ついていけなくてさ、」
全然そうは見えないのにな。
むしろ、今のところ、頭のいい印象しかない。
「この前の実力考査もクラス順位、5位でさ、僕の家、1番以外は認めないー、みたいなとこあって、しかも、特進クラス入れなかったからなおさら、厳しいんだよね…」
「そうなんだ、うちはそんなことないから恵まれてるかな、自由主義だし。」
「ハナちゃんは何位だったの?」
「えっ、と…3位…」
沈黙が流れる。
「塾とか行ってない、よね?」
その問に黙って頷くだけ。
「すごい!!ハナちゃん、今度テスト前に勉強会しよ!僕、理系教科なら得意だから!!」
理系教科は正直苦手な私にとってありがたい話だ。
「うん!やろ!理系教科苦手だから助かる!」
そんなこんなで、いろんな話をしていた。中央駅まではそんなに時間はかからない。
「じゃあ、ここで、また明日!」
「うん、また明日ね。」
降りていく錦くんを見送って前を向いた。


