「ううん、ないよ!」

「それならよかったー。」

さすがに二人で帰るなんて思ってなかったから、びっくりした。

「ソウ、ずるいぞー!俺がハナのこと好きだって知ってるだろ!?」

「仁哉くんは委員会なんだから仕方ないでしょ。僕一人で帰りたくないもん、」

もん、とか男子高校生が使うなっつーの、と内藤がツッコミを入れるけど、正直、にあってるから大丈夫。

だと思われる。

「錦だもん、仁哉が想像するような危ない事態にはならないって!」

どちらにしても駅が違うし、私の方が遠いんだけどな…

「まぁ、それもそうか…」

場違いにうるさいチャイムが鳴って、また席に戻る。

数学も英語も何もかも集中できない。

「フタムラさん、ボーッとしないでください」

「はーい。」

「あなたじゃありません。ぁ、ごめんなさい、ニムラさんだわ。」

「…はい。」
久しぶりの間違いと、二年生になってほぼ初めての注意。

…華奈も返事をしてたってことは華奈もボーっとしてたのかな…