「次の問題をニムラ華奈ー。」

「せんせー、華奈はフタムラなんですけどー。」

恒例と言ってもいい、ニムラ、フタムラの間違い。はーぁ、慣れたとはいえやだなぁ…

「あ、あぁ、悪いな。ほかのクラスにニムラがいるから間違えた。それで、この答えは。」

「X=a+2です。」

「残念。ⅹ=a₋2だ。」

答えて席につき頬杖をつく。
ニムラ、さんか。きっと華奈のようにニムラかフタムラで、間違えられてるんだろうな。

なんとなく、顔も知らないニムラさんに同情してる自分に気づいてつい笑ってしまう。

「華奈ー。また間違えられたなっ!」

「ほんと、まだ間違えられるんだよねー。もう一年生も終わるのに!」

「俺、こういう時、ほんと山田っていい名字だと思うわ。」

その言葉に周りのみんなが笑い出す。

「山田はねーよっ!代名詞にしか聞こえねーしっ」

「うるせーよ、山田は画数が少ないんだぞ!」

もう馬鹿でしょーとかいいながらみんな笑ってうるさいって怒られてまた笑って。楽しくて楽しくて仕方ない。