片恋シンドローム


「それでも講師の先生、少なくしてもらったんだけど?数学も全部、高田先生になるところを変えてもらったけど?」

そう言われるともう何も言えない。


「まぁ、文系教科なら俺も多少は教えてやれるからさ。」

それで機嫌直せよ、なんて顔をされたら誰も何も言えない。

「ってことで今日は終わりな。内藤、号令。」

「きりーつ、きをつけー、さよーなら」

気の抜けたような挨拶を終えて、みんな各々帰り出す。

「華奈と内藤!今度の球技大会のことでそのうち残ってくれって頼むと思うから、覚えといて。」

クラスの親睦のための球技大会。

それもクラス委員長の仕事なんだ。

全く知らなかったよ。

「で、フタムラ、じゃない、ハナ。」

「はい?」

ハナが不思議そうな顔をする。

「佐藤先生がお前のこと探してた。怒ってたぞ。」

「え?なんで?」

ハナじゃなくて華奈が聞いてしまう。ハナはわかってるみたいだけど。

「っと、もしかして、あのことですか。」
「はい、あのことです。って言ってもハナは悪くないけどな。」