片恋シンドローム


「に、錦くん!手…!」

「ぁ、ごめん。痛かった?」

ぱっと手を離される。

ううん、と首を横に振って錦くんの前を歩き出す。

「ハナちゃん、華奈ちゃんに振り回されてない?ってまだ一日だけど。」

「全然!むしろ、錦くんの方こそ内藤に振り回されてるんじゃない?」

二人して保護者みたいだねって笑い出して、前を行く二人に早く来いと怒られる。

「これでも早く歩いてるのになぁ…」

苦笑しながら二人に追いつくように走る。

久しぶりのゲームセンター、は人が違うだけでも、全く違う。いつもなら面白くないゲームだって何故か笑いが止まらないし、もう何度とったかわからないプリクラだって、表情が固まる。

「ハナ、顔引きっつってる!」

「え、この華奈半目だよ?」

何度したかわからない「可愛いね(はぁと)」「えー、○○ちゃんの方が可愛いよ(はぁと)」なんていう会話よりも、変顔で笑ったりする方が楽しい。

そして楽しい時間はあっという間に過ぎていく。