「それでは次の文を、フタムラさん。」
もう一年生も終わるというのに、相変わらず覚えてもらえない。
「ニムラです。」
二村、二村。ニムラ、フタムラ。紛らわしいのはわかってる。
「あ、ごめんなさい。ニムラさん。この次の文読んでもらえるかしら。」
「はい。」
返事をして読み上げる。うん、平和。
そして授業終了の合図がする。
「花奈、また間違えられてたねー!」
「あはは、ホントだよー。もうなれたけどね。」
「花奈、どんなけ間違えられてんの?」
「常に!ほんと慣れたとはいえこういうの困るよー。」
当たり障りなく話す。
「 そういえばみんな二年生文理どうするの?」
なんでもないその言葉にそれぞれが文系だの理系だの答える。
「私も文系だよー。」
「え、じゃあ、うちのクラスから理系行くの全然いないじゃん!」
何気ない世間話に花を咲かせて、休み時間なんてものは全く足りない。
そんな生活。