ウソ夫婦


目の前には、豪華な応接セット。陽の光が入って、空気がキラキラしている。窓の向こうには、お台場の海。

「あすか」
頭の後ろから声がした。

「はいっ」
声が裏返る。

あすかの腰に、ジェイの腕が撒かれた。逃げられないように、半ば身体を持ち上げられて、そのまま右手のベッドルームへと入っていく。

「ちょっと、待って」
「待つわけないだろ」
「でもでも」
「うるさい」

白いシーツの上に放り投げられる。あすかはベッドのスプリングで、二三度跳ねた。

振り返ると、ジェイはすでにダウンを脱いで、床に放り投げている。薄手のカーキ色のセーターを脱いで、乱れて目にかかる前髪を頭を振ってはねのける。

ベッドに右膝をつき、白いシャツのボタンを片手で外した。ジェイの鎖骨がちらっと見える。

「わわわわわ」
あすかは慌ててベッドで後退りした。

「逃げんなよ」
ジェイがベッドに乗ると、ふわふわのスプリングが沈む。

あっという間にジェイが真上に来て、あすかは抵抗虚しく見上げるしかない。

コートのボタンをジェイが外す。

「やけに大人っぽい格好してるじゃないか」
「そ、そう……かな?」

コートを剥ぎ取られる。大ピンチ。