ウソ夫婦


エレベーターの扉が閉まっちゃう。

あすかは「開」ボタンを連打しようと手を伸ばしたが、ジェイに手首を掴まれた。そのままエレベーターの隅に追い詰められる。

ジェイはあすかの顔を覗き込み、にやりと笑った。「お嬢さん、何か問題でも?」

「も、問題?」
ブラの中のストッキングが頭をよぎる。

「ありませんっ」
「明日、俺と結婚するんだよな?」
「そのつもりですが」
「じゃあ、なんでそんなに逃げるんだ?」

エレベーターはぐんぐんと上に上がっていく。

「えっと……まだ結婚前だし。もうちょっと待っていただいても……」
あすかはいうと、ジェイが「はあ?」と声に出す。

「俺がどれだけ待ったと思ってんだ。お前がすっかり忘れてる間、俺は紳士的だっただろ?」

そ、そうかな?

あすかは首をかしげる。挑発されたような気がしないでもないような……。

「何度か押し倒してやろうかと思った。身体で思い出すかもしれないし」
「身体でって……」

あすかの顔が火照ってくる。

「もういい加減、待たされるのはうんざりだ」

頬を大きな手で引き寄せられる。

そしてそのまま唇を奪われた。