静寂。 翠はゆっくりと起き上がって、閉じられた扉をじっと見つめ続ける。 翠を抱きしめた時の、颯太の表情が頭から離れない。 あんなに切ない表情をするなんて……。 翠は今更ながら鼓動が早くなってくる。髪をかきあげて、両手で顔を覆った。 山崎颯太。 あなたは、本当は、誰なんですか?