ピチャピチャと水音だけが響く。初めて会ったからか、会話はなく、気まずい空気が漂っていた。

ど、どうしよう…
何か、話さなきゃ
でも……何を話す?
えっと…えっと……

「あのさ」
「はっ、はいっ!?」

急な言葉にびっくりして声を裏返してしまった。その恥ずかしさのあまり、顔はどんどん赤くなっていく。

「おもしろっ…」
「なっ…!」

クスクス笑う先輩。私はムスッとして更に顔を赤くした。

あぁ
どうして直ぐ赤くなるの
こんなの嫌…

「…っで、な、なんですか?」
「悪りぃ悪りぃ」

私を見てニコニコしている。

「で?」
「お前、お腹大丈夫か?」
「…え…」
「腹抱えてトイレに駆け込んでるの見た」
「……」

は、恥ずかしい…!!!

私は俯いた。

どうしてそんな時間にいるのよ!
恥ずかしいよ…
お腹痛めたの自分が悪いし…
………でも、どうして先輩はこの時間までいたの?
活動の完全終了は5:50のはず……


『お前、お腹大丈夫か?』


……私の、ために待ってた…とか…?
で、でもそれは違っ……


再び顔を赤くすると、クスッと笑い声が上から聞こえてきた。

「真っ赤」
「う、うるさいです!」
「まだ痛いんか?」
「ぃい痛くないです!」
「嘘つけ」
「う、うそ、じゃないです!」
「ふーん」
「せっ、先輩こそっ……」

言葉に詰まった。だけど。

「…ん?」

そう、覗き込んでくる顔に期待してしまっていた。

「……ど、どうして…こんな、お時間まで…」

しまった……
言ってしまった…

目を瞑って、後悔をした。