「……」
「……」
向かう途中、会話は無かった。ただ足音だけが響く。
くも膜下出血は確かに危険…
でも…
もう、…あの人が診察するの?
今日から勤務になるわけだし……
今日、から…
「っ…」
今日から同じ職場なんだ…
私は唇を噛んだ。そして目を見開き、後悔した。昨日、私と豪太くんが二人きりで廊下にいる、寄り添っているところをあの人は見てしまった。しかも私は泣いてた。
怪しまれるに違いない……けど
もう、関係はないか
「…置いてくるね、豪太くん」
更衣室の前に来ると、私は豪太くんの顔を見ずに、更衣室には入り荷物を置いて首にプレートをぶら下げ、胸にボールペンを刺した。
「…はぁ」
一旦、落ち着かなきゃ
仕事に支障が出ちゃう
そう、仕事
あの人は仕事で来てる
私も仕事だ
ただ職場内で関わるだけ
「よし…」
私は更衣室を出て、豪太くんを待っていた、ら。
「ぅ…うわっ!」
背後から伸びてきた手に引かれ、私は男性更衣室に吸い込まれていった。
