最近は風が出てきたから洗濯もなかなか気持ちいい。


よし、井上さんのところに‥‥‥‥


「小僧、こんなことろで何をしている」


聞いたことのない声が後ろから聞こえて振り向くと、お酒を鉄性の扇子に持った男がいた。


背が高くでっぷりとしたお腹だが、その身体は確かに鍛え抜かれている。


黒髪には少し白髪が見えている。


土方さん並みの威圧感がある。


「えっと‥‥‥」


「ここは小僧なんぞがいる場所ではない」


昼間から酒を飲んでいるのか、身体からお酒の匂いがして顔は赤らんでいる。


この人、酔ってる?


「僕、ここに置いてもらって‥‥‥」


「小僧!さっさと出ていけ!」


「え、えぇ?」


おいおいおい、人の話は聞けや。


というか、この人だれだよ。


「わしの言葉が聞けんか!?」


「ひぃ!」


迫力が‥‥‥怖ぇ‥‥‥


よし、ここは‥‥‥‥逃げるが勝ち!


クルリと向きを返ると、後ろから男が動くのを感じ取る。


顔だけ振り返ると、鉄扇を振り上げた男が見えた。


やば、この体勢、避けれね!


「いっ!」


額を殴られて痛みが広がる。


何とか倒れずに踏ん張る。


え、逃げるのも無理なのか!?


右頬に生暖かい何かが垂れる。


マジか‥‥‥血出てきちゃったよ。


それもかなり多いような?


「ほぉ!わしの一発をくらって立っていられるのか!」


見下すように見られ、ちょっと、いや、かなりイライラする。


てか、なんかクラクラしてきた。