やってしまった‥‥‥


斎藤さんに勝ってしまった‥‥‥


予定では土方さんの前で斎藤さんといい勝負をして、負ける予定だったんだけどなぁ。


斎藤さんが予想以上に強くて思わず本気になってしまった。


いや、負けることはできたけど斎藤さんの殺気が怖すぎて剣を受けるのが嫌だったんだ。


あの一太刀を受けたら骨が折れる。


無理無理、僕痛いの嫌いだし。


痛いのは馴れてるけど、自分からいこうなんて殆ど思わない思わない。


そんなのはただのM人間だよ


僕はNだよN。


いたってノーマルの分類‥‥‥のはず。


仲間からはドSっていわれてたけど。

 
「おい剣壱」


「ひ、土方さん‥‥‥‥」


ドスのきいた低い声。


おっかねぇ‥‥‥‥


命の危機を察知し、すぐに斎藤さんの背中に隠れた。


チラリと顔を出すと、いつも通りのぶっちょうずらがお見えになる。


うん、ほんと、どうしよう‥‥‥‥


「おめぇこんなところで何してる」


「い、いやぁ、ちょっと、本当にちょっと身体を動かしたくて‥‥‥‥」


「ほぉ?そしたら斎藤と試合することになったと?」


「‥‥‥‥あはは」


いや、試合頼んできたの斎藤さんだし。


まぁそう仕向けてないって言ったら嘘にはなるけど。


「副長、俺が剣壱との試合を望んだんです。罰があるなら俺が受けます」


斎藤さん‥‥‥‥あんた、いい人だなぁ!


こんないい人に全部なすりつけるのは駄目だ。


「土方さん‥‥‥」


「なんだ?」