七郎の方が剣の腕は強いとしても、実戦経験が違いすぎるだろうし。


「ね、お願い!」


「‥‥‥‥斎藤組長、どうすれば?」


斎藤さんの方を見ると手に顎を乗せて考えているようだった。


少しの間が開いて斎藤さんが七郎に言った。


「いいだろう」


「は、斎藤!?本気かよ」


「ああ。俺が許可する」


斎藤さんは僕の力量をみる気か。


ま、べつにいいけど。


「わぁ!七郎、よろしくね!」


「本気かよ‥‥‥」


斎藤さんが許可するとは思わなかったらしく、
七郎は頭を垂れていた。


「剣壱、ほら」


原田さんから木刀を受け取る。


この木刀、ちょっと軽いかな?


何時もと背丈も違うから木刀も長く感じる。


この木刀、小太刀と同じ長さか。


いつも刀を扱っていたためか、木刀が軽く感じる。


ま、別に支障はないだろう。


「七郎、ちょっとまってて」


「ん?なんだ?」


「ちょっと準備運動に身体動かすから」


広い場所に行って軽く深呼吸する。


目を閉じ再び開ければ、視界がクリアになったという幻覚さえ覚える。


剣を構えて空気に向かって大きく振る。


それから流れる動作でもう一太刀。


五分位そうして、最後の一太刀を振るい終了。


「ん、まぁまぁかな」


袴で木刀を振るうのは初めてだが、やはり支障があるとしても少しだけ。