新選組と最強子供剣士

剣のぶつかる音、誰かが倒れる音。


手合わせをしている者は叫ぶことだってある。


なるほど、いい腕をしている者が多い。


流石に全員鍛えられてはいる。


肉体はもちろんいい。


だが、なにより皆いい目をしている。


それを見ているとかなり‥‥‥‥


「虫酸が走る」


「剣壱?」


思わず口に出てしまった。


ハッとし原田さんを見ると、こちらを警戒しているよう。


やはり土方さん辺りから監視命令てきなものが出ているのだろう。


チッ、やっちまった。


何時もなら絶対にしないミスだ。


どうやら僕は、まだ江戸時代にいることを完全に理解できていなかったらしい。


まだ頭のどこかで混乱しているのか‥‥‥


「原田さん、どうしたの?」


さっきのことをなかったようにするため、原田さんを見つめて首を傾げる。


「あ、いや、なんでもない」


何かに困惑したように顔をそらす原田さん。


これからはこの人との交流も避けるか。


「ね、原田さん」


「なんだ?」


「僕、原田さんと一緒に稽古する!」


そうわざと大きな声で言うと、その声に驚いた隊士の皆さんがこっちを向く。


「え、剣壱、それは‥‥‥」


「だって、土方さんが僕はあんまりウロウロしたら駄目って言ったんだもん!」


「今日は見学だけで‥‥‥」


「いーやーだっ!僕もお稽古する!」


駄々をこねて隊士達の注意を引く。


いいぞ、もっとこっちを見ろ。


「んーどうしたもんか‥‥‥」