新選組と最強子供剣士

その言葉が、どれだけ危険か理解していないはずがない。


だけど、剣壱君の目は本気だ。


「そんなこと、僕がさせない」


「沖田さんに、僕を止めることはできません。
付け加えますと、この新選組全員で挑んでも僕には勝てないです」


「君、僕達をなめすぎてない?」


流石に堪忍袋のおがきれそうだった。


自然と刀に手が伸びる。


「フ、フハハ」


だけど、剣壱君はそんな僕を見て見下すように笑った。


それはすぐに凍てつくような無の表情になる。


「あなた達は、誠の旗をそれはもう誇らしく掲げているようですね」


「それがなに?何か文句でも?」


「誠の武士、誠の正義、誠の志。隊士の人達は本当に誇らしく教えてくれました。話してくれた人の目は輝いていて、綺麗でしたよ。でも、
それでは僕に勝つことはできない」


「どうしてそれがわかるの?」


「人の心は弱いからですよ」


「ここにいる隊士が弱いっていうの?」


僕が聞くと、剣壱君は立ち上がった。


警戒していると、剣壱君はその場でまるで演説するように話し出した。


「沖田さんや土方さんは心が強いでしょうね。
でも、普通の隊士達は違うでしょう。実際に死の直面に出くわしてしまったら?拷問にかけられてしまったら?人質をとられたら?」


出てきた言葉は、到底子供とは思えないものだった。


その声音は、まるで僕を馬鹿にしているようにも聞こえる。


「沖田さんは人の心の弱さを知らない‥‥‥‥
あ、話がそれていましたね。それで、答えはでましたか?あ、因みに、僕はいっさい嘘はつきませんので。ま、信じるも信じないも沖田さんしだいですが」


ニヤリと笑った表情で聞いてくる剣壱君。


僕は‥‥‥絶対に負けない。


「いいよ。その条件、飲もう」


「わかりました。では、くれぐれも約束は破らないで下さいね?」


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