沖田 目線


目の前にいるのは、たかだか八つの男の子。


なのに、何か油断できないものをもっている。


この部屋に入ってから、一気に雰囲気が変わったような気もする。


コロコロと変わっていた表情は無く、無表情で冷たい目をしている。


「まず、僕を監視している人を外して下さい。
僕達の話が聞こえないところに」


唐突にそう言った剣壱君は、指を上に指して言った。


剣壱君を監視しているのは山崎丞という隊士。


新選組の監察で、もっとも優秀な監視者。


土方さんから監視をつけてるのは聞いていた。


山崎君だし、気づかれることはないと思っていたのに、この子は簡単に破った。


「監視は僕の部屋に入った時点で外れてるよ」


「嘘ですね。外さないのなら教えません」


剣壱君はすぐに即答した。


やっぱり、嘘をついても無駄か。


僕は舌打ちをし、山崎君に声をかける。


「この子の言う通りにして」


その言葉だけで、天井にあった気配が消えた。


「ありがとうございます。では、次に約束をしてもらいます」


「約束?何?言ってみてよ」


「この話は他言無用。わかりましたか?」


意見するのは許さないといった顔。


ほんと、油断したら首をとられそうだ。


「嫌だと言ったら?」


睨みつけるように目を細めて声を低くし、剣壱君を威圧させるように言った。


「新選組局長、近藤勇を殺します」


「なっ、!!?」


なんの躊躇も無く、その言葉を言った。