だけど、沖田さんは僕の演技はお見通しというように眉をさらに寄せた。


そして‥‥‥‥


    ヒュン


そんな音がして、僕は持っていた土方さんの食事をお盆ごと沖田さんに投げた。


僕は素早く後ろに下がる。


ガシャーンと音がなり、床に落ちた朝餉。


そのお盆は真っ二つに綺麗に分かれている。


沖田さんの手にはさやから抜かれた刀。


‥‥‥‥危なかった。


沖田さんは完全に僕を斬るつもりだった。


「今のを普通の人は避けられないよ」


静かにそう言った沖田さん。


知ってるし、分かってるし。


寸止めしてくれるんだったら避けてないし。


「おい、何の音だ!?」


ドタドタの足音が聞こえてくる。


‥‥‥‥‥仕方ないか。


「沖田さん、部屋にすぐに案内して」


「理由は?」


「僕のこと、教えるから。はやく」


「‥‥‥‥わかった」





走る沖田さんの後を僕は付いていく。


そして、ある部屋の中に沖田さんと入った。


「ここは僕の部屋。ここでいい?」


沖田さんの部屋だという部屋は、藤堂さんの部屋以上に殺風景だ。


「うん、いいよ」


僕と沖田さんは畳の上に向かい合って座る。


さて、それじゃあ何から話そうかな。


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