剣壱の木箱と羽織。
そして‥‥‥各組長への手紙。
それを自分の仕入れから見つけた時、俺は目を見開いて驚いた。
まだ寝静まっている各組長の部屋に手紙を起き、剣壱を探した。
芹沢さん達の墓の前で呆けている剣壱を見たとき、思わず目を反らした。
なぜだかはわからない。
ただ、何となく見ていられなくなった。
「スゥー、スゥー」
泣きつかれたのか、俺の腕の中で寝てしまった剣壱。
そういえば、こいつが泣くのを見るのは初めてだったか。
剣壱を抱き上げ、自分の部屋へと戻る。
そして引きっぱなしの布団の上に寝転がした。
無邪気な笑い顔。
純粋な嬉しそうな顔。
嫌味ったらしいバカにするような視線。
怒った姿。
鋭い殺気のこもった姿。
そして‥‥‥泣く姿。
「どれが、本当のお前なんだ?」
ただの子供だと思ったら、とんでもない技量のもった殺し屋で。
恐ろしい奴だと思ったら、ただの子供の様で。
本当によくわからない奴だ。
今も、しっかりと木箱と羽織を抱き締めて眠る姿は、ただの子供しか見えない。
「‥‥‥まぁ、どうでもいいか」
仕事をしようと、立ち上がる。
その時だった。
「!?」
突然、剣壱の身体が淡く光だした。
「剣、壱!?」