相手の刀が芹沢さんの腕を浅く斬った。


更にくる追撃を芹沢さんが上手く防ぐ。


だけど‥‥‥


充満する血の匂い。


もう‥‥‥嫌。


どうして?


ねぇ、なんで?


どうして‥‥‥芹沢さんがこんな目に合わないといけないの?


「お梅」


「!」


「合図したら‥‥‥走れ」


「え‥‥‥?」


顔を上げれば、強いあなたの瞳がある。


少し振り向かれたあなたの顔。


とても苦しそうな、芹沢さん。


「いいな。お前だけでも‥‥‥」


「‥‥‥」


否定なんてできなかった。


強く、そして、弱い声で言うあなたからの切なる願い。


「芹沢さん‥‥‥」


嫌、いや、イヤよ。


あなたを置いて、私は逃げろと?


そう、言うの?


私の思いを知っていながら、あなたは‥‥‥


「頼む‥‥‥」


「‥‥‥!」


酷い人。


本当に、私は‥‥‥酷い人間だわ。


「わかり‥‥‥ました」


どこかホッとしたような表情をしたあなた。