新選組と最強子供剣士

昨日の恐怖が脳内に蘇る。


もう本当、嫌だ。


全部投げ出して逃げたい。


「覚えてくれてたとは嬉しいなぁ小僧。剣壱っつうんだろ?お前」


「僕のこと知ってるんだ」


「ああ、白凰からいろいろ聞いてる」


「今日は1人?」


「さぁ?どうだろうな」


意味ありげな含み笑いを浮かべる氷景。


この人、ぜんっぜん表情読めない。


‥‥‥回りに気配はない。


けど、何かあるかもしれない。


さて、どうするか‥‥‥


バン!バン、バン!


キン!キン!


迫ってくる球を交わし、弾く。


このやろう、考えてる途中に撃たないでよ。


ただでさえ暗いし雨も降ってるから視覚に頼れないのに。


「さすがだな。球を弾く奴なんざぁ見たことがねぇ」


「そりゃどうも!」


床を蹴り、球を剣で弾きながら一直線に氷景に向かう。


一定距離になると、氷景は刀を左手で抜いて片手で構える。


右手に銃、左手に刀か。


「はぁ!」


鉄と鉄が交わり、雨音の中にカキンと乾いた音が交わる。


氷景は刀を受け止め、そのまま銃を僕に向けてくる。


トリガーを引くよりも早く、僕は次の連撃を繰り出す。


「グッ、この!」


「後ろに、下がってる、よっ!」