新選組と最強子供剣士

正直、足手まといになっちゃうし。


でも、屯所に返すわけには行かない。


「にゃ~」


「は?」


聞こえてきた猫の鳴き声の方を振り向く。


そこには何故か叶がいた。


軽やかにジャンプして、僕の肩に乗る叶。


なんでここにいるんだ‥‥‥


てかビチョビチョだし‥‥‥


屯所に帰ったら拭いてあげよう、うん。


「っ!」


不意に強い殺気を感じ、周りを警戒する。


ものすごく一瞬だけど、確かに感じた。


「沖田さん、ちょっと叶をよろしく」


「え?あ、‥‥‥」


沖田さんに叶を渡し、小太刀を抜く。



         バァン!



銃声が響いた瞬間、僕は剣を振るった。


カキンと音を立てて、僕は向かってきた球を弾く。


銃声の方を見ると、ゆったりとした足取りで誰かがこっちに向かってきていた。


「沖田さん、八木邸に帰って土方さん達と合流してきて」


「‥‥‥剣壱君は?」


「上手くあいつ撒いて、屯所に戻る。早く」


「‥‥‥わかった」


沖田さんが、僕の向いている方向と反対方向に走っていく。


それを確認して、僕はもう一度刀を構えなおし相手の名前を呼んだ。


「昨日ぶり、かな?氷景、だったっけ?」


刹那的、氷景は氷のような笑みを浮かべた。


寒気が全身に走り、背筋が凍る。