新選組と最強子供剣士

仲間を裏切った者の報い。


引きずっていかなければならない。


バレなくとも、仲間を裏切ったという事実は自分の中に永遠に残り続ける。


今更、善人面をした自分が酷く醜く思えた。


一心不乱に、原田は走った。


立花の背中が見えた。


その奥には吉栄も立っている。


「立花!」


声を上げ、名を呼ぶ。


立花が振り向いた瞬間、原田は目を見開いた。


吉栄の身体が倒れたのだ。


足を止め、唖然と吉栄を見つめる。


倒れながら、吉栄の口は動いていた。


『はらだはん』、と。


そう、確かに言っていた。


「なぜ、ここに?」


どこか驚いたような表情。


だが、立花の目線は冷めたものだった。


遅かった。


間に合わなかった。


立花に‥‥‥やらせてしまった。


「立花‥‥‥すまない」


「何が、ですの?」


「俺がしなければならない仕事だった。逃がそうとした挙げ句、お前にやらせちまった」


後悔の念が心を支配する。


原田は謝罪の言葉を繰り返した。


「‥‥‥すまな‥‥‥」


「黙りなさい」


「!」


凛とした声が、声を遮った。


「目線を上げて、私の目を真っ直ぐ見なさい」