新選組と最強子供剣士

土方と山南が、芹沢さんと斬り合っている。


「っ‥‥‥くそっ!」


言葉に出来ない感情が湧き上がってき、壁を殴りつけた。


自分は何をしているんだ。


覚悟が足りなかったのか?


今更、今更‥‥‥!


沖田が平山をの首を落とした時、原田は思ってしまった。


(どうして斬れたのか)と。


『皆、自分の正義だけを信じてるんだ。完璧にいい人なんて分からないよ』


「っ!」


不意に、剣壱の言葉が頭をよぎった。


その瞬間、刀を強く握りしめ、大雨の中に身を投げ出した。


全力で走り、立花の後を追う。


『仲間をどうやったら簡単に殺せる?そんなこと、出来るわけないじゃん』


自分は何も見えていなかったのか?


沖田が平山を斬った時の顔は‥‥‥


簡単に斬れたはずがない。


『裏切ったって、固い意志や決意があったって1回でも仲間だって認識しちゃったら、もう遅い。無理だよ』


そうだ、簡単に殺せたはずがない。


なぜなら、沖田と平山は着いていく者は違えど同じ新選組の同士だ。


心というものは、簡単に割り切ってくれない。


『佐ノさんの優しさは長所だよ。辛いことでも引きずっていかなきゃ。背負う価値はある』


‥‥‥俺の優しさは長所。


だが、行き過ぎた長所は短所となる。


それが現状だ。


ここで失敗しては‥‥‥全てが終わる。


ああ〈背負う価値〉とはそういうことか。


背負わなければ、価値がなければ殺す必要すらないのだ。