新選組と最強子供剣士

佐ノ助様の言葉を遮り、私は首を振りながら言った。


裏切り行為とは許されるものではない。


今の状況なら、尚更。


「沖田組長は平山五郎を斬りました」


「っ!」


「そいて今、山南総長と土方副長が芹沢鴨を斬ろうと交戦中です」


「それは‥‥‥」


「彼らは元同士を斬り捨てる。なのにあなたは誰も斬らないと。そう仰るのですか?」


「だが、吉栄は!吉栄は関係ない!」


「っ」


パチン!


渇いた音が響いた。


私は佐ノ助様の頬をぶったから。


すごく、イライラしますわ。


「不愉快ですわ。あなたにはガッカリいたしました」


そう言い放ち、私は佐ノ助様の横を通る。


そして傘を開き、裏口から屯所を出て行った。


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立花に言われたことが、原田の胸に深く突き刺さる。


裏切り行為。


その通りだと、思わず苦笑した。


立花が八木邸を出て行った時、少なからずホッとした自分がいる。


叩かれた頬がヒリヒリと痛んだ。


吉栄とは、少なからず馴染みがある。


小柄で可愛い、そんな女性だった。


だから情が沸いたのだ。


「キャー!」


「ッ」


不意に、お梅の叫び声が耳に入った。