新選組と最強子供剣士

着いたのは、裏口だった。


「原田はん‥‥‥」


「吉栄、良く聞いて欲しい。もう、絶対にここには戻ってくるな。全部忘れるんだ」


訴えるような、佐ノ助様の切ない声。


いけない。


いけないですわよ、佐ノ助様。


「さぁ、行け」


裏口を開き、佐ノ助様が吉栄の背を押す。


吉栄が外に足をつけた瞬間、私は吉営の背に向かって指を指す。


それから指を鳴らした。


パチン


「!」


「にゃ~」


佐ノ助様が音に気づいて私の方を向く。


同時、叶が肩から下りて外に飛び出して行く。


それを確認し、私は佐ノ助様と目を合わせた。


「立花‥‥‥」


切なげな声に、なぜか胸が締め付けられる。


大切な人が死ぬ悲しみはよく知っている。


佐ノ助様にとって、吉栄は大切な人なのかもしれませんわ。


ですが、佐ノ助様‥‥‥


今の行為を見逃すわけにはいけまんの。


「佐ノ助様、あれは、この件に関わっている協力者への裏切り行為ですわよ」
 

「!」


佐ノ助様が顔を歪める。


それから苦々しく口を開いた。


「わかって‥‥‥」


「いいえ。あなたは何もわかっていませんわ」