そんな芹沢の表情を見たお梅は、泣きそうな顔をした。
そしてすがりつくように芹沢の胸に手を置く。
「嫌ですっ、嫌‥‥‥‥」
首を振り、芹沢の着物を強く握りしめる。
まるで繋ぎ止めておくように。
「嘘ですっ‥‥‥!お金なんて、いりません!
いらないんですっ‥‥‥!」
小さな声で、だが、力の入った声音でお梅は言った。
芹沢は無言でお梅の頬に手を添える。
優しく、いつもの芹沢からは想像もできないくらいに、優しく。
そして、お梅はポツリポツリと話し出した。
「本当は、嫌な感じがして‥‥‥‥」
「嫌な感じ?」
「説明できないんです。ただ、あなたの顔が浮かんでばかりで‥‥‥そうしたら、いてもたってもいられなくなったんです」
「‥‥‥そうか」
女の勘は怖いと、芹沢は思った。
なにより、目の前にいる女の勘は鋭すぎる。
これ以上、二人共言葉は出なかった。
ただ無言で、もう全てがわかっているかのように。
ただ、無言で時を過ごした。
*********************
「さて、そろそろ来るかな」
大雨の降る深夜、どこか楽しそうな声がした。
芹沢達は大部屋で4人で床についている。
平山の方も、別室で糸里と共に眠った。
「いいんですの?平間重助は別室にいますが」
「さぁ?ああでも、あの人酔ってなかっただろうし、多分助かるよ」
「え?」
「‥‥‥僕は逃がさないけど、ね?」
子供はそう言って、ある方向に目を向ける。
「やっと、来た」
そして更に楽しそうにそう呟いた。
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そしてすがりつくように芹沢の胸に手を置く。
「嫌ですっ、嫌‥‥‥‥」
首を振り、芹沢の着物を強く握りしめる。
まるで繋ぎ止めておくように。
「嘘ですっ‥‥‥!お金なんて、いりません!
いらないんですっ‥‥‥!」
小さな声で、だが、力の入った声音でお梅は言った。
芹沢は無言でお梅の頬に手を添える。
優しく、いつもの芹沢からは想像もできないくらいに、優しく。
そして、お梅はポツリポツリと話し出した。
「本当は、嫌な感じがして‥‥‥‥」
「嫌な感じ?」
「説明できないんです。ただ、あなたの顔が浮かんでばかりで‥‥‥そうしたら、いてもたってもいられなくなったんです」
「‥‥‥そうか」
女の勘は怖いと、芹沢は思った。
なにより、目の前にいる女の勘は鋭すぎる。
これ以上、二人共言葉は出なかった。
ただ無言で、もう全てがわかっているかのように。
ただ、無言で時を過ごした。
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「さて、そろそろ来るかな」
大雨の降る深夜、どこか楽しそうな声がした。
芹沢達は大部屋で4人で床についている。
平山の方も、別室で糸里と共に眠った。
「いいんですの?平間重助は別室にいますが」
「さぁ?ああでも、あの人酔ってなかっただろうし、多分助かるよ」
「え?」
「‥‥‥僕は逃がさないけど、ね?」
子供はそう言って、ある方向に目を向ける。
「やっと、来た」
そして更に楽しそうにそう呟いた。
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