新選組と最強子供剣士

そんな芹沢の表情を見たお梅は、泣きそうな顔をした。


そしてすがりつくように芹沢の胸に手を置く。


「嫌ですっ、嫌‥‥‥‥」


首を振り、芹沢の着物を強く握りしめる。


まるで繋ぎ止めておくように。


「嘘ですっ‥‥‥!お金なんて、いりません!
いらないんですっ‥‥‥!」


小さな声で、だが、力の入った声音でお梅は言った。


芹沢は無言でお梅の頬に手を添える。


優しく、いつもの芹沢からは想像もできないくらいに、優しく。


そして、お梅はポツリポツリと話し出した。


「本当は、嫌な感じがして‥‥‥‥」


「嫌な感じ?」


「説明できないんです。ただ、あなたの顔が浮かんでばかりで‥‥‥そうしたら、いてもたってもいられなくなったんです」


「‥‥‥そうか」


女の勘は怖いと、芹沢は思った。


なにより、目の前にいる女の勘は鋭すぎる。


これ以上、二人共言葉は出なかった。


ただ無言で、もう全てがわかっているかのように。


ただ、無言で時を過ごした。





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「さて、そろそろ来るかな」


大雨の降る深夜、どこか楽しそうな声がした。


芹沢達は大部屋で4人で床についている。


平山の方も、別室で糸里と共に眠った。


「いいんですの?平間重助は別室にいますが」


「さぁ?ああでも、あの人酔ってなかっただろうし、多分助かるよ」


「え?」


「‥‥‥僕は逃がさないけど、ね?」


子供はそう言って、ある方向に目を向ける。


「やっと、来た」


そして更に楽しそうにそう呟いた。





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