新選組と最強子供剣士

不意に、銃口がティユルの方に向いた。


「お、女を撃つぞ!!」


武士にあるまじき行動だ。


そんなことを思いながら、肩をくすめる。


足を止めてティユルの方に目を向ける。


屋根の上に佇む、美しい仲間。


風で髪がなびいていて、その姿は夜の黒き蝶といったところか。


その目線の先にあるのは、仲代さん‥‥‥ではなく、その手にある拳銃。


欲しいのだろう。


再び仲代さん達の方に目線を戻す。


「で、どうする?」


そう問うと、仲代さんは困惑した顔をした。


僕が余裕のままだからだろう。


予想外。


そんな感じの表情。


「お、お前に提案がある」


戸惑って黙ったままの仲代さん。


その代わりに、浪士の1人が前に出て言った。


「何?」


「俺達のところに、こないか?」


全員の目線が、その浪士に移った。


今、目の前で仲間が殺されたっていうのに。


よくもまぁ‥‥‥‥


「長州藩に来ないかって解釈でいい?」


男が真剣な顔をして呟く。


溜め息をつきそうになるのを堪える。


僕に勝ち目がないと分かっただけマシか。


だけど、仲間に勧誘するなんて‥‥‥な?


「却下に決まっているだろう?」