「剣壱」


思わず、動きが止まった。


だって、ずっと小僧って呼ばれてて‥‥‥


だけど、それだけじゃない。


呼ばれた声に、何かがあった。


僕の動きを止める何か‥‥‥‥


「後悔をしない道を進め。そして‥‥‥」


「芹沢さん」


芹沢さんが言う前に、僕は言葉を遮った。


何を言いたいか分かっている。


でも、ダメだ。


「何も、約束できない」


そっと呟いた言葉。


約束なんてできない。


僕は、この時代の人間じゃないんだから。


いつ未来に帰るかもわからない。


それに、僕は‥‥‥‥


「僕は、新選組を信頼はしてない」


今、信頼しているのは立だけ。


それを分かっているのかいないのか、芹沢さんは言った。


「それでも、言わせてくれ」


「‥‥‥‥」


芹沢さんが何を言うか分かっていた。


それでも、僕は動かない。


いや、動けない。










    「お梅と、新選組を頼んだぞ」










動けなかったのは、芹沢さんの声に強い意思があったから‥‥‥‥


言葉を聞いた瞬間、僕は塀を乗り越えた。