「はは、じゃあ行こうか」


僕はクゥちゃんを抱いた。


井上さんが少しだけ困った顔をする。


「その、人形を持っていくのかい?」


「え、あ、置いていっても大丈夫かな?」


クゥちゃん、この時代では珍しいし。


取られたりしないかな~


「大丈夫だよ。平助君は幹部だし、誰もこの部屋に入ってこないよ。それに、隊士達皆でご飯を食べるからね」


それもそうか。


僕はクゥちゃんを部屋の隅に戻した。


「じゃあ行こうか」


井上さんについて行く。


部屋を出てみると外は既に真っ暗だった。


藤堂さんいないし‥‥‥‥


いつのまにいなくなったんだろう?


そんなことを考えながら井上さんについていくと、ガヤガヤとした大きな部屋に付いた。


人がいっぱいいるな~


当然だけど、皆男。


「連れてきたよ」


「ああ、井上さんありがとう。剣壱、こい」


「え、うわぁ!」


井上さんが言うと、土方さんが僕の腕を引っ張った。


突然のことで、少し驚く。


土方さんは何の前触れもなく、声を張って言った。


「おい、ちょっと静かにしろ!」


シーンとして、隊士の皆さんが僕と土方さんに集中する。


「こいつは、とある理由でここで預かることになった。俺の小姓で、一応お前らが家事する時の手伝い役だ。どんどんこき使ってくれ」