集中していたせいで、周りに気を配ってなかった。


あ~あ、やっちゃった。


「い、井上さん、ごめんなさい」


「いや、いいよ。それにしても、速いね」


「ありがとう。教えてくれた人が凄く厳しい先生でね。それより、どうしたの?」


「ああ、君の袴と着物を買ってきたから、どれかに着替えてくれないか?」


そういって、井上さんは僕に服をくれた。


袴が三着と、着物が三着だ。


わざわざ買ってきてくれたんだ。


「わぁ!井上さん、ありがとう!」


「いや、いいんだよ。御礼は局長にね」


近藤さん、ありがとうございます!


後でお礼言わないとな。


和服の着方、まだ覚えてるかな~


着物なんて、もう随分と着ていない。


「うん。井上さん、ありがとう」


とりあえず受け取る。


動きやすいし、袴にしよう!


えーっと、これがこうで、ここがこうで、こうして‥‥‥‥出来た!


「井上さーん、できたよ!」


井上さんの前でクルクルと回る。


「うん、よく似合っているよ」


「へへ、ありがとう」


「夕餉があるから行こう。君の処遇も決まったから、部屋に閉じこもってなくても大丈夫だよ」


おお!部屋に閉じこもってなくてもいいのか!


これで、日々の暇は改善できそうだね。


夕餉って、夕御飯だよね!


なにがあるのかな~


おいしいのかな~


「ご飯~ご飯~」