まぁここまでな道のりは何となくつかんだからいっか。


藤堂さんと共に部屋に戻る。


さて、暇になったぞ。


何しよっかな~


本を借りて読む‥‥‥‥字が読めなさそう。


寝る‥‥‥‥無理だな。


よし!体を動かそう!


この部屋の広さと、今の僕の体格なら十分だ。


クゥちゃんを部屋の隅に置く。


僕は、空中に向かって蹴りやパンチなど技を流れるような動作で繰り出す。


止まってはならない‥‥‥止まったら終わり。


頭にこれを叩き込んで体を動かす。


目を瞑って、相手を想像する。


余計な力は入れず、必要最低限の力で空気を相手に技を繰り出す。


「剣壱君」


「!!!」


ガラッと襖が開けられた。


驚いた僕は、反射的に襖を開けた人物に蹴りを繰り出す。


襖を開けた相手を捉えてハッとなり、足を当たる寸前で止める。


あ、しまった‥‥‥‥‥


襖を開けた相手は、井上さん。


井上さんの首近くに、僕の足が寸止めされている。


両方、そのまま少し固まった。


「い、井上さん?」


「け、剣壱君‥‥足を下ろしてくれないか?」


え?‥‥‥‥‥あっ。


僕はすぐに足を下ろした。