思わずゾクッと背筋が震えた。


子供の姿をしているというのに、剣壱には時々恐怖心が煽られる。


これが本性と言うのだから、恐ろしい。


なぜなら、一般隊士全員が知らないからだ。


無邪気で愛嬌のある笑み。


その笑みは演技だというのを、初めは俺も分からなかった。


実戦で剣壱がどれだけの働きをするかも、まだ知らない。 


「土方さん?」


剣壱をジッと見ていると、不思議に思ったのか首をかしげた剣壱。


‥‥‥やっぱ力の技量が分かんねぇな。


「剣壱」


「あ、主計」


「すごい。副長に勝つなんて」


「へっへ~ん!」


胸をはり、無邪気な笑顔をうかべる剣壱。


今でも演技とは思えない。


「ハァ~」


「副長、どうかされましたか?」


「山崎‥‥‥いや、剣壱が新選組に牙を剥けばどうなるのかってな」


「それは‥‥‥」


「裏切るつもりはねぇよ。ただ、あいつの本気をまだ見てねえ気がしてなんねえんだ」


僕は武士じゃない。

卑怯な真似はいくらでもする。


その言葉の本当の意味を、剣壱の本性を、俺達はまだ知らない‥‥‥





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土方さんに勝ったことで、とりあえず立の説得には成功した。


土方さんに勝ったことで、少しストレスも発散できた。


さて、これからどうし‥‥‥‥


「剣壱君」


名を呼ばれ、道場の入り口を見る。