*********************
剣壱の構えが変わった。
まとっている空気も、さっきとは別物。
それに、さっき言ったことも気になる。
敬意を表する?
あれが、剣壱の言っていた暗殺剣か?
「山南さん、このままじゃあ死にますね」
「っ、どういうことだ?あれが剣壱の言う、暗殺剣か?」
そう聞きながら、北凪を睨む。
北凪は試合を見ながら、興味なさげに言った。
「土方さん、知ってたんですね。でも、あれは違います。あれは隊長の作った剣技です。誰にも教わっていない、隊長の剣。隊長の本気ですよ」
もう終わりが見えた。
そう北凪は言っているようだった。
試合は両者ともに動かない。
いや、山南さんは動けないのだろう。
「参ります」
ヒュン
瞬間、剣壱は消えた。
かろうじてその気配をたどると、剣壱は山南さんのすぐ後ろにいた。
その剣先は、心臓のある場所に突きつけられている。
静けさがあたりをおおう。
「まいりました」
初めに言葉を発したのは山南さんだった。
その言葉を聞くと、剣壱が小太刀をしまう。
そして山南に笑顔を向けて言った。
「いい剣だね」
と。
*********************



