新選組と最強子供剣士

回りくどく質問するのを止め、山南さんに聞く。


山南さんは少し驚いた顔をしたが、すぐに悲しそうに笑った。


「仲間をやるんです。悲しくもなります」


「仲間だった人、でしょ?」


「?」


「誰をやるのかは知らないけど、殺すと決めた時からその人はもう仲間じゃない。山南さん達はその人を裏切ったんだ。もう決まってるんでしょ?じゃあもう仲間じゃない」


「裏切った‥‥‥」


「そうだよ。もう、仲間じゃないんだ」


ああ、イライラする理由がわかった。


そうだ、そうなんだ。


仲間を殺す痛みを、僕は知ってる。


「一度やりはじめたら止まらないよ。そういうところまで、新選組は走らなきゃいけない」


「剣壱君‥‥‥」


「仲間を裏切るっていうことはそういうこと。
山南さん達は新選組の幹部だ。これからは仲間であろうと、疑わなきゃいけない」


「どういうことですか?」


「仲間が、仲間だなら離れていかないなんて保証はどこにもないんだ。そんな生温い覚悟じゃ崩れていくだけだ」


人の覚悟なんて脆いものばかりだ。


僕がそうしたように、そうであったように。


「引きずっていかなきゃいけない。引きずってでも前に進むんだ」


山南さんは何も言わず、僕の顔をじっと見る。


それから何かを決めたように目を閉じ、僕に言った。


「夕暮れ、道場で待っています。小太刀を持ってきてください」


去っていく山南さんを見て、僕は静かに笑う。


そして聞こえないだろう声で、笑って言った。


「さて、やろうか」


と。





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